2ヵ月遅れてのご報告となってしまいましたが、昨年の12月9日(日)~22日(金)にかけて開催された「東京ドキュメンタリー映画祭2023」初日のトークセッション「誰もが安全・安心して参加できる映画の現場を目指して」に登壇させていただきました。
■東京ドキュメンタリー映画祭
一緒に登壇したのは、俳優・文筆家で「映像業界における性加害・性暴力をなくす会」の睡蓮みどりさん、インティマシーコーディネーターの西山ももこさん、そして司会で同映画祭プログラマーの佐藤寛朗さんです。
トークセッションの内容はこちらの記事にまとめられていますので、よければご一読ください。(要点が整理されていてとても良い記事と思いました。)
■「東京ドキュメンタリー映画祭2023」トークセッション「誰もが安全・安心して参加できる映画の現場を目指して」(Cinema Factory/2023.12.10)
そして2月4日(日)に、東京新聞の「映画業界のハラスメント」に関する特集記事の一枠で再び取り上げられたようで、WEB版で記事の全文を読むことができます。こちらもよければご一読ください。
■映画業界のハラスメント「変わらなければまずい」深田晃司監督に聞く(東京新聞/2024.2.4)
東京ドキュメンタリー映画祭では、昨年7月に、長年プログラムディレクターを務めていたドキュメンタリー制作者の撮影対象への性加害が発覚し、それが業界を揺るがす大きな問題となりました。
そして昨年8月にディレクターが退任してから初めて開催する映画祭ということで、各方面から厳しい目が向けられていたと思いますが、僕も事情を知りつつも、自分にできることがあればという気持ちで、登壇を引き受けさせていただきました。
僕自身、ドキュメンタリー制作者の倫理についてはブログやSNSで細々と発信し、2022年9月にはブログで作り手のエゴとハラスメントについての2万字弱の文章を書いています。(「人を記録し、表現するということ②」)
また、しばらく前から性暴力や性搾取の問題について勉強し始め、「同意」や「自己決定」というものが、いかにさまざまな制約や誘導の元に狭められてきたものであるかというのが現在の大きな関心事の一つです。(これは生命倫理等の問題にも通じると思います。)
トークセッションでも、この「同意」というものの難しさが大きなテーマとなりましたが、それは同時に、映画業界そのものや映画制作の現場にはびこるさまざまな問題についても考える大事な機会となりました。
事前のZoomミーティングでは、そうしたことも含めて登壇者でさまざまなことを話しましたが、1時間の予定が気付けば3時間話し込み、とても考えさせられる時間となりました。とくに睡蓮さんや西山さんが直面している業界内の男尊女卑の構造、性加害やハラスメントが起こる構造、声を上げる被害者に対する二次加害の構造、背景にある女性蔑視など、業界という枠を超えて変えていかなければならない問題と改めて思いました。
僕自身、少し前までは男性としてこうした問題に無自覚だったことが恥ずかしい限りですが、自身の加害性を見つめ直し、今後も勉強を続けて自らをアップデートし、性暴力やハラスメントを絶対に許さない社会の空気作りに少しでも貢献できればと思っています。(それはSNSでおかしいことは「おかしい」というだけでも被害を受けた方の心持ちは全然違うのだということを最近身をもって知りました。)
そしてその「他者の尊厳を守る」という一人の人間としての意識が、自ずと映画制作への姿勢にも反映され、現場の雰囲気やスタッフワークにも影響していくのではと思います。

話は変わりますが、12月26日(火)には、高知県立大学で開催された「アーカイブの倫理」という研究会にお呼ばれし、取材対象との向き合い方、対象の映像の扱い方や表象のあり方など、ドキュメンタリーの立場から発表&ディスカッションしてきました。(僕一人で3時間半というお時間をいただきました。)
お声がけいただいた先生には、5年前に上映でお世話になって以来何かと気にかけていただき、前後の2泊3日、高知の美味しい料理とお酒を楽しみながら多くの時間を語らいました。おかげさまで、2023年最後の楽しみになったと同時に、僕自身の表現における倫理観を改めて整理する機会となりました。
今後も精進していかねばと思います。
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