top of page

活動理念

目の前の人や現実と真摯に向き合い、「人間」や「社会」の本質を見つめる。

 誰もが自由に発信し、あらゆる情報が溢れ、消費されている現在、私たちは良くも悪くも今まで「当たり前」とされてきたことがいつ覆るか分からないような変化の激しい時代を生きています。さまざまな社会課題に対し、一人一人が考え、行動するという行為が試されている中で、私たち映画の作り手も、自分の役割や映画の持つ力、可能性を考えない日はありません。

 そのような中で、これまで長い時間をかけて人と人が“ともに生きる”ことの意味を追い続けてきた当会が持つべき指針とは何なのか。それは、思い込みや思考停止といった心地よい誘惑の中で、自己中心的・予定調和的に結論を急ぐのではなく、作り手自身が映画製作を通して表層的なものの見方や考えを何層も更新し、「人間」や「社会」の繊細で複雑なありようをこれからも提示し続けることだと私は考えます。

 そのために必要なことは、自分の無知を知り、他者の痛みや見えないものに対する想像力の無さを自覚し、ただひたすら目の前の人や現実と真摯に向き合う姿勢を持ち続けること。これは効率や合理性が求められがちな現在において、非常に時間と手間がかかる作業かもしれませんが、そうして「本質」を丹念に見つめようとする行為をどこかで誰かが人知れず続けていることが、回り回って誰も取り残されない、持続可能な社会を実現することに貢献していると私は信じます。

 だから私はこの困難に満ちた世界の中で、自分に何ができるのか自問自答を繰り返しながら、時流に流されることなく、自身の「伝えたい」という切実さと個別具体的な経験を頼りに、「人間」や「社会」の営みを深く掘り下げた厚みのある作品を作り続けたい。そして同時に一人の人間として、描かれる側の思いを決して置き去りにすることなく、人の人生やその中にある一つ一つの繊細な気持ちを何より大切にしながら、その心を丁寧に掬い取れるような作品を作ることを心掛けたい。そう考えます。

 これらのことを大事に胸に刻みつつ、表現のあるべき姿を模索し、映画製作や上映活動を通して世の中に貢献することが、ピーストゥリー・プロダクツの活動理念です。

​2020年2月10日 代表・監督 我妻和樹

IMG_1045.jpg
bottom of page